キングコング西野亮廣さんの『革命のファンファーレ -現代のお金と広告-』を読みました。
個人的には、間違いなく今年読んだ中で一番です。100冊ぐらいは読みましたが文句なし。
どんな本なのか気になる方は、西野さんのブログをご覧ください。
『えんとつ町のプペル』は売れるべくして売れた
『えんとつ町のプペル』は、5000部売れればヒットと言われる絵本業界で32万部を売り上げた、まさに業界に風穴を開けた作品です。しかしえんとつ町のプペルが売れた理由が『キングコング西野』というネームバリューのおかげだと思っている人が多いんじゃないでしょうか。実際、固定ファンの多さがいい影響を及ぼしているでしょうが、おそらく無名からでも企画を成功させただろうなという説得力があります。(ネームバリューを獲得したことも含めての実力ですしね)
そしてその『えんとつ町のプペル』を売るために行った戦略やねらいを赤裸々に公開しています。西野さん的には、隠す必要がないし「俺はこうやったからあとは勝手に参考にして!」って感じなんでしょうね。かなり議論を読んだ作品の全編無料公開についても言及されてます。
そして『革命のファンファーレ』自体も『えんとつ町のプペル』とその映画化に興味を持つように仕掛けられていますし、僕みたいな読者がこうしてブログに書いていることもきっと織り込み済みなのでしょう。
無料公開を批判する人間に未来はない
僕ははじめて絵本の無料公開を知った時、『無料公開する人が現れたら業界が疲弊する』とまでは思いませんでしたがシンプルに売れなくなって困るんじゃない?とは思っていました。
しかし無料公開したものが『絵本』で、その目的の多くは『お母さんがお子さんに読み聞かせする』ものだということを忘れていました。ビジネス書や小説とは性質が違っていたのです。西野さんはその性質の違いを見抜き、縦スクロールで公開しています。お母さんとしては外れの絵本を買いたくないので、書店で立ち読みしてから買う人が多く、どの絵本も一度は無料で見られていることが多いそうです。つまり「買わなくてもネットで読めるからいいや」という読みやすさまでは公開せず、お母さんの立ち読みレベルをネット上でできる範囲で再現したのです。
他にも無料公開した理由は数多く解説されています。おそらく革命のファンファーレを読んでなお無料公開を批判できる人間はいないはずです。
ニュースになって他人の時間を使うことが最強の販売戦略
大切なのは、ニュースを出すことではなくて、ニュースになることだ。
ニュースになるような仕掛けをすると、テレビに出たり宣伝をしなくてもネットニュースで取り上げられて作品や著書を宣伝することができると書かれています。(この考え方を『炎上商法』と混同する人が多そうですが、決してそうではありません。おでんツンツン男はクラウドファンディングで資金を集められませんよね)
ちょっと意味は変わりますが最近この件を実感したことがありました。少し前にこのツイートが話題になったのをご存知でしょうか。
弊社で実際に行われている有休申請と申請許可までの一連のやり取り。 pic.twitter.com/7I1HvzVQwT
— あすかたそ(INT 0) (@asglld) 2017年9月29日
このバズツイート内で使われている『がい子くじんスタンプ』というLINEスタンプが爆発的に売れて、一時人気クリエイターズスタンプランキングのトップにまで躍り出ました。ニュースになることで4万を超えるユーザーがシェアして宣伝活動に力を貸してくれたのです。おそらく、このスタンプが専用の宣伝アカウントを作って地道に宣伝しているだけでは不可能だった数字を達成したはずです。
これが『ニュースを出すな、ニュースになれ』の実例だと実感した例です。
(狙ってLINEスタンプの宣伝に使ったのかは分かりませんが、結果的には他人の時間を使ってスタンプの売り上げが爆発的に伸びたのは事実です)
アンチを手放すな
炎上することで有名な西野さんは、アンチを大歓迎しています。
確かに西野さんが絵本の無料公開でYahooニュースに載った時、いつも批判的なコメントが集まってコメントランキングで上位に上がっているのをよく見かけます。それはすなわち記事内で語られている絵本の強力な宣伝になっているということ。なるほどなと思いました。
ただしアンチを歓迎するのは、西野さんが後ろめたいことを一切していないからに他なりません。自分が正しいと思うことに反対意見がつくのは気にせず利用すればいいですが、『反対意見を集めるための行動』になってしまうと、それは炎上商法と呼ばれるものになってしまいます。
Abema TV『エゴサーチTV』のはあちゅうさんがゲストの回ではアンチ論(?)や炎上について語られていてめっちゃ面白いのでぜひ一度見てみてください。
お金を稼ぐな、信用を稼げ
クラウドファンディングとは、信用をお金化する為の装置だ。
同じ企画でも100万円集まる人と1円も集まらない人がいるが、両者の差は、企画者の信用度に他ならない。
クラウドファンディングでお金を集められる人は「認知されている人」ではなく「人気がある人」、つまり広く名が知れている人ではなく信用されている人と書かれています。
つまりやりたいことのために資金集めをするのなら、地道に信用を積み重ねていくことが大事なのです。
そして自分が信用されていることを可視化することも同時に大切です。行列ができているラーメン店は「味に対する信用を勝ち取っている姿」を見せつけられるので気になるのと同じです。
行動しない人間はアホである
やりたいことをやれてない原因を突き詰めると、ほとんどは面倒臭いから。「お金がない」「時間がない」「スキルがない」は言い訳で、それらを手に入れるための工夫や努力を面倒臭がってるだけ。
と自分に言い聞かせる。
— 橋本ナオキ イラストレーター (@Abhachi_Graphic) 2017年9月24日
この前、似たようなことを思ってたんです。
行動しない人間は、自分が行動しない理由を、すぐに「勇気」のせいにする。
「勇気がないから一歩踏み出せない」と言う。
これは違う。大間違いだ。
行動することに、勇気は必要ない。
まさにその通りですよね。
今の時代は手に入れたい情報はすぐに手に入るし、集客も販売も宣伝もなんでも無料でできます。やらない理由を聞かれて言い訳するのはやめにしましょう。
もちろん家庭環境などの影響はあるけど、それは行動しない理由にはなりません。
行動できない人はぜひこの『革命のファンファーレ』を「おわりに」まで一気に読んでみてください。絶対に奮い立ちます。
信用もお金も情報もスキルもないと言うのなら、いますぐ圧倒的努力で信用を積み重ねる・スキルを身につける・情報を勝ち取る・お金を稼ぐ、このほかにないんです。
感想
今回、発売日に自宅で受け取れなかったのでKindleで予約して読みましたが、紙の本を本棚に置いておきたいからもう一冊買おうと思ったはじめての本です。
僕は週2~3冊の本を読みますが、本当に面白かった本しか紹介していません。中でもこの『革命のファンファーレ』は、強烈に読むことをおすすめします。もう2017年10月ですが、間違いなく今年読んだ本の中でナンバーワンです。いろんな感じ方があるとは思いますが、僕の中では明らかに圧倒的一位です。この本を読んでいるか否かで、今後の人生に決定的な違いが生まれるとすら思っています。西野さんのブログで冒頭が無料公開されているので、ぜひそちらからでも読んでみてください。この人はまじですごい。