少し前に新卒フリーランスを全面否定する記事を読みました。
実際は、新卒フリーランスそのものを否定するというよりは「会社に行くことが嫌という理由で無計画にフリーランスを選ぶのはアホ」という意味合いが強かったです。僕はそれでも新卒でフリーランスになることが悪いことではないと考えています。
ただ結論としては、否定はしないけど推奨もしないぐらいです。会社に勤めて教えてもらったことは、当たり前になっていて実感しづらいですがとても役に立っているはずです。しかし挑戦してみたいのであれば早めにやってみて厳しさを知った方がいいとも思います。
個人的な意見ですが、
「社会に出たことがない若造が、成果を出さなくてもお金をもらえる会社組織」より厳しい環境に身を置くことがアホだとは思いません。むしろやり直しのきく若い時にこそやってみる価値があると思ってます。自分の適性を見極めて選択できるような世の中になればいいですね。 https://t.co/bXncP4mz7r— 橋本ナオキ イラストレーター (@Abhachi_Graphic) 2017年10月15日
理由1:新卒で一生の働き方を選ぶわけではない
新卒のときにフリーランスを選んでも会社員を選んでも、極論を言えば1日で方向転換はできます。新卒ブランドはありますが、もはや新卒で入った会社で一生勤め上げる人はほとんどいなくなっていく時代です。3年は我慢して勤めろという話もありますが、僕はそこまでの期間が必要だとも思っていません。
働き方を「フリーランスか会社員か」を向き不向きでざっくり分けると、4パターンの人がいることになります。
- 会社員に向いていて、会社員になった人
- 会社員に向いていて、フリーランスになった人
- フリーランスに向いていて、会社員になった人
- フリーランスに向いていて、フリーランスになった人
『フリーランスに向いているのに会社員になった人』は会社員→フリーランスへ転身することができますが、『会社員に向いていてフリーランスになった人』も同様にフリーランス→会社員へ転身できます。
現在の就職活動では働き方の選択はほとんどなく、業種や職種を選択するだけになっています。新卒から働き方の選択をしてもいいはずです。つまり自分に向いていると思う働き方を選んでみて、合わなかったり失敗すれば別の選択肢を選べばいいのです。
ただし新卒というカードを捨てるリスクは現実にあるということは覚えておいてください。
理由2:フリーランスは成長しないと生きていけない
フリーランスの方との情報交換の中で『会社員は学びながらお金がもらえる貴重な機会』という認識が多いことを知りました。確かに会社員の頃は先輩に教えてもらうばかりで、何の価値も生み出せなくても月20万円近い給料をもらっていてとても恵まれた環境でもあったと思います。
ただ『価値を生まなくても生きていけてしまう』という側面もあると感じました。
会社にいることを利用してノウハウを吸収できる人ならまだしも、与えられた仕事を漫然とこなすだけの人でも同じ報酬をもらえてしまうわけです。
一方でフリーランスは『世の中に対して価値を生まないと生きていけない』という厳しさがあり、成長するためにはもってこいの環境です。しかし当然、フリーランスは成長できる・会社員は成長できないという極端な考えではありません。結局はその人次第です。
理由3:お金の稼ぎ方と守り方を学べる
アルバイトをして月数万円稼いでいた大学生が、仕事を教えてもらいながら20万円近い初任給をもらうようになっても『お金を稼ぐ方法』を学んでいるとは言えないと思っています。
さらにいうと『お金の守り方』の学びもまったく違ってきます。守り方といっても貯金ではなく、自分にとって必要なことにはお金を使い、不必要な支出はしないことです。
僕はお金を稼げない時期を経験したからこそ本当に必要な支出のみに絞って自己投資にお金を使うべきだと学びました。会社員の頃は、毎月入ってくるお金を必要なだけ使って、余った分が勝手に貯まっていくという計画性もない使い方をしていました。お金を稼げてはいましたが、それはお金の稼ぎ方を知っているとは言えない状況でした。
お金に対する考え方が変わったのが、フリーランスになってからの一番の変化だと感じています。新卒フリーランスは稼ぐのが難しいからこそ、お金をどうやって稼ぐか、どうやってお金を活かすかということを考えざるをえなくなります。
理由4:若い時期の方が低収入にも耐えられる
フリーランスの難点は何と言っても収入の不安定さです。新卒フリーランスともなるとまったく稼げない期間というのも覚悟しなければならないでしょう。ただし、大学生のときはアルバイトと仕送りで何とか生計を立てていた人も多いのではないでしょうか。奨学金の返済があれば少し厳しいかもしれませんが、一人で生きていくだけのお金ならフリーランスとして活動しながらアルバイトでもまかなえるケースが多いと思います。
特に家庭を持ったり、子供を授かったりしてから収入が不安定な時期(フリーランス初期)を迎えるのは大変なリスクがあります。自分一人生きていくだけのお金を稼げばいいという程度なら新卒フリーランスに挑戦してみて、不足分はアルバイトで補うといった働き方も可能なはずです。
理由5:新卒フリーランスになればちょっとレアな人材になれる
新卒フリーランスで失敗しても、フリーランスで食っていくために正しく努力した人の価値は必ず同世代の平均よりも上がっているはずです。それだけの経験を得れば別の働き方にシフトしても、立て直すことができるはず。
会社に行きたくないというだけで『フリーランスという名のフリーター』になって何も努力しない場合はその限りではありませんし、もしそうならフリーランスを選ぶべきではありません。
ただ新卒フリーランスという肩書きが欲しいだけなら間違ってると思います。
(注)武器がないのにフリーランスになるのはリスクがある
当たり前ですが稼ぐ能力がないのに憧れだけでフリーランスになるのはリスクが高いです。
人によりますが大学卒業時はそこまでお金も掛かりませんし、フリーランスになると決めていれば固定費を下げる工夫もできます。稼ぐ力がないからこそ吸収できることも多いはず。
稼げるだけのスキルがなくても、情報収集して適切な努力をすることや人に好かれること、どんなことにも臆さず取り組めることも立派な武器です。フリーランスになってみたいと思う人は新卒だからとか気にせずに、なってみるといいと思います。厳しさを知ることができれば、それはそれで成長です。ただ個人的にはやりたい人に対して肯定はしても全体に対しての推奨はしません。何度も言うように『フリーランスの名を借りたフリーター』とはわけが違います。
スキルはあるけど営業するほど自信がない、小さな案件でも実績が欲しいという方は『ココナラ』などのサービスに登録して自分のスキルに値段を付けて売ってみるのも一つの手です。ただどうしても単価が低くなりがちなのに加えて手数料が掛かり、本格的に稼ぐには向いていないので注意してください。
まとめ
- 新卒で選んだ働き方を一生貫くわけではない
- 成長しなくては生きていけない、厳しい環境に身を置ける
- フリーランスは稼げないからこそ、お金の稼ぎ方や守り方を学べる
- 若い時期の方が挑戦しやすい
- 早い時期にフリーランスを経験すると少しだけレア人材になれる
冒頭にも述べましたが「新卒フリーランスをやった方がいい」とは思っていません。リスクを背負ってでも新卒でフリーランスをやってみたいと強く思っているのであれば早めに挑戦して難しさを味わった方がいいと思う派です。
こちらも参考に
この2冊は、これからフリーランスを目指す人にとってはかなり参考になる内容です。