3日17日、京都の西陣織の職人さんが西陣織の技術を若い世代に継承するためツイッターで弟子募集をしました。
その内容に「半年間は無給・その後の仕事の保証はない」という記載がありました。
「西陣織を習いたい、将来的に仕事にしたい方を募集します。ただし最初の半年は給与的なものも出ませんし、その後の仕事を保証はできません。ただ、この西陣織の職人が減りゆくなか、将来的に技術を覚えておきたい方に無料で教授いたします」
このツイートに対して「ブラック企業」「やりがい搾取」といったリプライが多発し、俗に言う炎上状態となりました。
一般的な考え方ができる人であれば、職人さんの行動は賞賛されることこそあれ、批判されるなどもってのほかではないでしょうか。
なぜこのような事態になってしまったのか、考察してみます。
「炎上」は1割以下の戯言
こういった騒動で(実際は騒動ではないのですが)よく使われる表現として賛否両論・賛否の嵐といった言葉です。
実際のところ否定的な意見をしている人はごく少数で、深く物事を考えられない人か、なんでも否定から入る人だけではないでしょうか。
総数で言うとごく少数でも、メディアに取り上げられる際にはあたかも賛成派と反対派が5割ずついるかのような伝え方をされています。
「価値」を時給でしか測れない層の存在
なぜこの弟子募集をブラックと呼ぶ人が少なからず存在したのか。
それはたとえ弟子としてであっても価値=時給というものさしでしか測れない層が存在するせいではないでしょうか。
もちろん労働契約において賃金を保証することは不当労働を防ぐために重要ですが、この場合は西陣織という伝統の技術を無償で得られるという対価が明確に存在するわけです。
その道のプロに教えてもらうことは実際はとてつもなく価値のあることであり、教えに対して給与まで支払えというのはおかしな話です。例えば本を読まない人は本を読んで得たことを価値と考えられず(もしくはただ面倒臭い)本を買う代金が損になると考えている人なのではないかと思います。
そもそも自分が弟子に志願するわけでもないのにその条件を批判するのはお門違いですし、本当にダメな条件なら人が集まらなくて終わるだけです。
話題になることで技術者不足の解消になれば
今回は明らかに「ブラック」「やりがい搾取」と批判される謂れはありません。
募集時点で技術という対価の代わりに給与的なものは支払えないと明記してくれているのだから嫌なら行かなければいいのです。
しかし図らずも「炎上」と言われる状態になったことで技術者不足の現状が改めて明るみに出たことはよかったのではないでしょうか。
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